「声をかけて下さい」

 3月14日「人権についての学習」のなか我が社より堀川さんが大分県立日出暘谷高等学校で生徒数160名の前で自分の体験談の講演をしてきました。

 「私が事故でこの様な車イス使用者となったのは、夏も終わりを告げようとした16歳の9月・・・。あまりにも突然すぎた出来事が前触れもなく襲いかかってきたのです。自分自身何があったのか分かりませんでした。
 最初に頭の中に浮かんだのは父の事が心配でした。なぜなら一番甘えたい3歳の時に母を亡くし、はっきりとした思い出もなく、その後、父の手一つで育てられ、私が入院となると父が不便な生活を送るのではないかと心配でした。早く元気になって、家に戻ってお世話をしなきゃと思いつつ、これからの人生を二度と歩けない生活を送ることになって、16年間何事もなく過ごして来たがこの瞬間から親不孝をしたのではと父に申し訳なく返す言葉もありませんでした。言葉数が少ない父はこの様な体になって何も言いませんでしたが、私以上に辛かっただろうなと自分が母親になって子供に対する愛情の深さを知ることが出来ました。

 自分の足とさよならして、車イスの人生を歩み、沢山の困難にぶつかり挫折しようと幾度か考えた事もありました。でもせっかく車イスと言う人生を与えてくれたので、これから長くつきあうパートナー
として考え方を変えると特に困る事はないし、逆に車イスに乗っているから車イスバスケットボールにも出会え、全日本選手として、四度もパラリンピックに出場する体験もでき、最高のチャンスに巡り会え、誰にも言えない達成感も味わえる事が出来ました。

 確かに車イスと言うだけで通りすがりの方から振り向いて見られたり、タクシーに乗車拒否、歩道橋が渡れない、公共の場所でトイレが出来ない、食堂に入っても狭くて入れないなど数え切れないほどのバリアーがあります。

 健常者の人から見れば車イス使用者はまだまだ物珍しい存在かもしれませんが一緒に話したり、生活を共にすることにより「かわいそうだな」なんて思う事は無くなるのではないかと思っています。

 もちろん私たちも積極的に外へ出て障がいを持った人も、そうじゃない人も同じ人間として楽しく生活出来たら良いなと思っています。

 最後に勇気がいるかもしれませんが車イスに乗っている方を見かけたら思い切って自ら声をかけてみませんか、「何かお手伝いしましょうか」「困ったことはありませんか」ではなく、普通に使う挨拶の言葉「おはよう」「こんにちわ」です。

 毎朝の通勤時小学4年生くらいの男の子が下を向いて歩いて居たので「おはよう」と声をかけても挨拶は戻ってきませんでした。でも毎日のように挨拶をしているうちにその子も心を許してくれたのか、小さな声で「おはよう」と言ってくれて、とても嬉しかったです。今では自分から進んで挨拶をしてくれる仲になりました。

 皆さんもお友達や先生に気軽に挨拶をするように私たちにも声をかけてみては、
きっと心のバリアーが取り除かれステキな輪が拡がると思います。」

右から二番目が小百合さん♪