車いすで生活している別府市内竃の会社員近藤秀樹さんが、
大分や熊本県内の温泉を巡る「温泉ルポ」を自身のホームペ
ージ(HP)に載せている。8月末の満願寺温泉(熊本県)で60
カ所になった。「障害があっても入りやすい温泉もあるし、困難
を乗り越えての入浴は楽しさ倍増。他の障害者の励みにもなれ
ば」とパソコンに向かっている。

 「温泉に行っち来たでえ」「しらしんけん急な坂があっち、若だん
なにせっちもらったちゃ」(本当に急な坂があって、若だんなに押
してもらったよ)

 別府や由布院、黒川(熊本県)などの温泉を大分弁のコメントと
写真で紹介している。泉質や効能、料金を示すほか、温泉の入
りやすさを「入り口」「浴槽」などの項目に分けて評価。「15センチ
段差、石畳」「介助人2人要」などと分かりやすく記している。02年
7月の開設から17万件を超えるアクセスがあった。

 近藤さんは福岡県生まれ。ポリオ(小児マヒ)で足が不
自由になった。中学を卒業後、別府市の「太陽の家」に入所。76年から「オムロン太陽」
で働いている。

 太陽の家に入ったのは「プールがあったから」。水中では陸上より体が軽く感じる。スキ
ューバダイビングのライセンスも持つ「水好き」だ。

  温泉も大好きで毎日のように通っている。会社のHPの運営で技術を覚えたのをきっ
かけに、自分のHPをつくった。

  「御前湯」(直入町)、「あすかの湯」(久住町)のようにバリアフリーの施設も紹介する
一方、「鶴の湯」(別府市)など秘湯と呼ばれる温泉も取り上げている。

  直入町の芹川の流れの中にある「カニ(ガニ)湯」では車いすを降りて石段を一段ずつ
上がり、尻が血だらけになった。近藤さんは「困難を乗り切れば健常者よりも楽しみは大
きい。あきらめて帰ろうとしたら手助けしてもらえたこともあり、『心のバリアフリー』を感じる
のも楽しみ」と話している。
「朝日新聞より」

車いすで温泉ルポ HPへ掲載