平成14年、交付を申請しました自転車付車椅子の再申請するとともに
別府市長/別府市障害福祉課に要望書を平成15年2月28日に
提出してきました。その時の要望書をUPします。


<お礼>

今回の要望書を作成するにあたり 全国の方々ほか
多数のインターネットのお友達に支えられて大変立派な要望書と
なりました。ありがとうございます


今回の要望書は個人で提出しましたがこれが小さな一歩でも
今後の交付の基準の見直しとなれば大変嬉しく思います。


新聞にも掲載されました。



平成15年 2月 28日
要   望   書
別府市長 様
別府市 障害福祉課 様
住所が入っていました。
名前が入っていました。
 別府市におかれましては、平素から福祉行政並びに障害児・者福祉対策に、ご尽力いただき深謝
いたしております。また、太陽の家をはじめとした障害児者施設の設置運営につきましては、官・

民一体となって充実・整備されており、私たち障害児を持つ家庭にとりましても安心して住める町
として非常に誇りに思っております。

 先日、私は、長女 ○○美琴の社会参加とQOL向上の必需品である自転車付車イスの基準外申

請を行いましたが、国制度の補装具の中に該当しないとの理由で却下されました。障害児者福祉の
先進地と思っていた別府市が、単に「国の制度にない」「保護者の都合」という理由だけで却下さ
れては、今後、私たち障害児者家庭の不安はつのるばかりです。

 次のことについて要望をさせていただきますが、「福祉の町別府市」から全国に発信できる暖か
いご配慮とご回答をよろしくお願いします

 なお、この要望書及び市当局のご回答につきましては、私のホームページや全国の友人のホーム
ページ及び、新聞等のマスコミにも取り上げさせていただく場合がごさいます。趣旨をご理解の上、
あらかじめご了承いただければ幸甚です。

<長女及び養育の状況>
 私の長女 美琴(11歳)は、重度脳性麻痺による肢体不自由児です。
(痙性及びアテトーゼの混合性四肢マヒ及び言語障害・自力での座位保持不可能)
 私たちは、これまで「障害児が健常児とともに行動でき、今以上に精神的に豊かになること」
を第一に考えて育てて参りました。精神的に豊かになることが、身体的機能にも良い意味で影響
があると信じているからです。
 長女は座位保持も困難ですが、様々な機器による工夫や家族の協力により健常な子供たちと
常に一緒に行動してきました。声は出ますが、表出言語は、障害の性質上、まだまだ「おっかー」
「パパ」「こうくん(弟)」「ばーばー」最近では「おあか(おなか)がういた(すいた)」等の言
葉がやっとの状態です。そして現在まで、少しずつですが、一言一言、声に出して思いを伝える
練習をしています。
手足は、思うように動きません。手の機能は、今のところ、せいぜい《握ること》がやっとの状
態です。自力での移動は自分の可能な範囲で寝返りとずり這いです。しかし、精神面は着実に成長
長しており、例えば、弟とのテレビゲームなどの遊びにも対等に参加するなど(もちろん参加す
る時は親が手を持って一緒にゲームのボタンを押して体感させている)、このように感情豊かに
育ってくれている事を誇りに思います。
 それは、ひとえに弟妹はもちろん、近所の子ども達と共に遊び、共に学んできたお陰です。
多くの人とコミュニケーションをとり、娘だけでなく周囲の人も共に成長してきたのです。だか
ら、皆が好きな事は長女も大好きなのです。今後もこの「ふれあい」を何よりも大切にしていき
たいと考えております。

<要望事項> 自転車付車イスの交付について
1 使途目的

(1)通院介助に活用
(2)通学及び学校行事に使用
(3)買い物、町内のイベント等障害児の地域参加に使用
(4)災害時、その他の理由で、自家用車や公共交通機関が利用できなくなった際の迅速、
   且つ安全、確実な移動手段の確保


2 要望の理由、効果
(1)地域で暮らすための必要性
   障害者にとって在宅及び地域で生活することは、最大の願いである。
   今は家族間介護支援であるが友人やボランティアによるサポートが得られる。

(2)自己決定の尊重
   人は誰もが行きたい時、行きたい所へ…
   これは人間誰もが持っている欲求で、「障害児には我慢しろ!」という権利はない。
   当事者のQOLの向上という視点で捉えた場合、出来る限りの移動欲求に応える必要
   がある。また、支援費制度で強調されている「障害者の自己決定の尊重」という意味
   でもあてはまるのではないだろうか。

(3)公的制度の補完、経費の節約
   障害者が自治体から受ける公的サービス(支援費制度も同様)のガイドヘルパーやホ
   ームヘルパーの派遣制度において、ヘルパー車に利用者を同乗することは禁じられて
   いる。かといって公共の交通機関による移動は経費面や利便性に難点がある。
   また、行政効率から考えても、ヘルパーの派遣の方が公費負担が多いと思うが、ぜひ
   年間経費の試算を行った上での検討を願いたい。

(4)家族関係の維持
   常に親子が共に行動できる。(これは、当たり前の親子関係ではないか)
   重度の障害児をもつ家庭においても、最も普通の親子関係を形成する権利を私たちに
   も与えてほしい。

(5)心のバリアフリー
   移動はとても楽しい。(自由な移動が心や身体の発達を促す)
   一緒に行動する人と同じ速度で行動できるだけでも「同じ」気持ちになれる。
   外出しても自分だけ動けないからと家に閉じこもったり、置いてきぼりになる事で、
   心まで孤独になる。彼女が介助を受けて、車椅子で外出し、同じような速さで行動し

   同じ空気を吸えるだけで顔つきはいきいきして、行動する人と同じように足を動かし
   たり手を伸ばしてみるなど、体の動きもぜんぜん違う。彼女なりに皆に近づこうと努
   力している。そして笑顔もたくさん見せて、その日は声を出して今日の出来事を話そ
   うとする。そして「あおびあい(遊びたい)」「いきあい(行きたい)」と言えるよ
   うになった。車椅子自転車を使うことによりもっと彼女が外に出たいという気持ち、
   誰かに抱かれての行動や、通常の車椅子介助を受けるより、さらに自然に近い状態で、
   風を感じ、同じように「いっしょに行動できる」ようになる。そして、それは彼女の
   介助に携わる人の気持ちもまた「同じ」であると思う。
   また、実際に車椅子自転車を利用したところ、普段ほとんど笑顔を見せることのない
   子どもが、車椅子自転車で少しの距離を走るだけで満面の笑みになる、という場面を
   数多く見ています。あるいは、家にこもってばかりいて、自分からは外へほとんど出
   ようとしなかった人が、車椅子自転車に乗るようになってから、自主的に外出したい
   と言うようになった、という例も数え切れないほどで、その中には、新幹線で車椅子
   自転車を持って家族旅行するようになったという人までいます。それだけでも大きな
   QOLの変化だと考えられる。

(6)災害時、その他、自家用車や公共交通機関が利用できなくなった場合の安全確実、
   且つ迅速な移動手段確保。
   災害時や、その他の理由により、自家用車や公共交通機関が利用できなくなった際に
   迅速、且つ効率的に家族全員が行動するためには自転車付き車椅子は大きな力を発揮

   すると考えられます。一般の介助型車椅子では両親のどちらか一方が、その操作にか
   かりきりになる必要があり、移動速度も自転車と比べ、著しく遅くなることが予想さ
   れます。また障害児本人が長時間自力で頭を挙げていることが困難なので、一般の
   《おんぶ》などでの移動は窒息など生命の危険が伴います。また、《抱っこ》による
   移動も本人の身体的成長による体重の増加などで、今後ますます困難になることが
   予想されます。

3 前回の申請却下について

  昨年12月に自転車付車椅子(DUET)の基準外交付申請を行ったところ、市から却下
  の理由が「介護者の都合」「介護者の利便性を目的としたもの」「国制度の補装具に該当
  しない」であった。前述したように障害者の移動に対する欲求は当然の権利であり、
  QOLの向上と精神的、身体的機能向上に通じる。自力で移動できないものにとって、
  介護者は不可欠なものであり、これを「介護者の都合や利便性」と言うならば、車椅子も
  自走式以外は介護者の都合であり、現在認められている介護用品や補装具の殆どは介護者
  の利便性と解釈されかねない。自動車税の減免制度も本人の運転以外は全て介護者の利便性
  ではないだろうか。(身体障害者手帳の1種・2種の区別さえも無意味となってしまう)
  介護を容易に行うために開発された福祉機器を単に介護者の利便性という今回の却下理由
  には、担当者のその場しのぎの発言とも思える。
 (手帳制度や等級制度による一定のマニュアルに適応がなければ、当事者にとってもっとも
  相応しい生活機器が、サービスとして利用できないという状況自体を、根本からもう
  もう一度見つめ直すことが必要ではないか。権利擁護という言葉が非常に色々な所で
  述べられているが、その仕組みが、果たして一人ひとりが生活する上での権利をきちんと
  守っていくようなものにつながっていくのかどうかということ。今、検討されているような
  権利擁護のシステムなり、そういうものをどのように一人ひとりに身近なものにしていくの
  かが「障害児者の生活の質の向上」へつながると私は考えます。)

  国の制度にないものならばその内容を説明した後、可否は後の結論として、市民の利便を
  考えての努力を望む。
以  上

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