知らない世界

１１月に普通にうまれると思ったおなかの赤ちゃんが
突然　７月にうまれてしまった。。「早産」というらしい

なんで？
早くうまれることなんてあるん？
私　習ってない、勉強もしてない、聞いてない
まわりにそんな人もいない、

うんで、そのまま救急車で県立病院ＮＩＣＵへ

会ったのは、、うんで、５日目退院した日

給食着のようなかっぽうぎと、帽子とマスクと念入りな消毒手洗い

透明な箱（保育器）がいっぱい並んでいた
ピッピ〜アラームの音といそがしそうにうごきまわる看護婦さん
小さい赤ちゃんがいっぱい

この中に私の赤ちゃんがいるの？どこ？
みんな似たような顔形

自分の赤ちゃんを見た。

肌色（の体）に線とか目隠しとか機械とか一杯で、
そしてあまりにも
小さすぎて

「かわいい」とは言えなかった

なんだか、とっても
「ごめん」

涙出た
保育器に入ったみかんが２個？のような
頭と体


うまれる数日前にみた救急２４時の
ＮＩＣＵの保育器に入った赤ちゃん。
テレビのまんまやん
人ごとじゃなく、今、自分がその場にいる


まわりに看護婦さんもいてだんなもいて
｢泣きまい」思ったんだが
涙が一杯出て
マスクもびちゃびちゃに濡れていく

何か言おうと思うが
「こんなに小さいで、
ごめんな、
お母さんのせいやな」




病院の先生は、
レントゲンのような写真を見て
「運動機能障害があるかもしれません」

？？？？？

「運動機能障害」って何？？？？？
さっぱりわかりもしない。

「運動きのう障害ってナンですか？」
「手とか足が動かないんですか？」

「手足の運動障害のほか、
脳の出血部分このように（レントゲンの写真？）両方の脳３分の2破壊されていますので
言語や、視力や耳などの機能障害もあるかもしれません」

「じゃー私の脳みそを移植して　かえっこしてください」

「いや、それはできません」

「なんでできないんですか、医療がこんなに発達しているのに」

「脳をいれかえることはできないんです」


こんな何も知らない私

運動機能障害？

家に帰って両親に話した
「心配いらないよ」という風に。。
普通に｢もしかして運動機能障害が　でるかもしれんっち」
と言った


両親はどんな気持ちだったろうか


私は
時間があるたび、県立図書館で関係ある用語を調べた


どれも｢脳性麻痺」とか｢障害児」とかにいきついてしまう

「脳性麻痺」っちどんなの？？

時々みかける
ちょっと話し方が変で
歩き方も変で、
そんな人？？？

そんな｢印象」しか浮かばなかった私

そんな私が、、
障害＝脳性麻痺の子供を育てることになるのだ


この子をみて

運動障害でも
脳性麻痺でも難病でもなんでもいい


命だけは助かってほしい

どうかがんばって
私を「お母さん」のままでいさせて


｢早く名前を決めてください。もし
死んだときに、、役所に、、」なんとかかんとか

名前きめてなかった
あまりにも早くうまれすぎて


なんにしよう。。

死ぬかもしれないから早く名前を？

そんなんいややし

ぜったい、たすかる
ぜったいがんばる
ぜったい生きてて



助けて　　「命」

辞書で調べた。。。

「みこと」

とも読むんだよな。


これしかないよ

「みこと」

あなたは、これからどんな障害を持っていても
植物人間になっても
細く永くあたたかいままでいてほしい

きっと
素敵な女の子になる
お琴のような細く素敵な旋律をみんなに奏でてくれる

｢美琴」


うまれたときが一番苦しいとき。。
もうこれ以上の苦しみはない


そう信じて
美琴が生きている瞬間を一緒に
精一杯過ごしていこう


現在１２歳
自分の体は動かせない

だけど
人の心を動かす力を持っているんだね

心のバリアフリー第一歩へ